店主ひとりごと


はじめまして。

カメラを向けられても上手く笑えない、店主の田宮です。


この写真は、プロカメラマンのお力で笑顔になれました。(自分の中ではかなりの笑顔です)

なぜこのようなお話をするかというと、苦手なことは「その道のプロの力を借りる」ことも必要だからです。



呉服(着物)に携わって今年で29年。


この経験が「着物の悩みを解消する」お役に立てれば、と日々ご相談を承っております。



プロと言ってはみましたが、奥深い仕事ですので個人的にはプロと呼ばれても落ち着かず、日々精進している毎日です。

少し「経験値がある」くらいで気軽にご相談ください。



まずは、自身のことを少し書き連ねたいと思います。

途中、長いなぁ〜と思われましたら、どうぞ飛ばしてお読みください。


田宮 秀則
千葉県生まれ

父親が二輪を卸す会社に勤めていた関係で、自宅で自転車を組み立てる姿を見て育つ。

今から思えば、この育った環境が「ものづくり」へのきっかけになっていたのかもしれません。



時は流れて、20代前半の渡豪を機に日本の伝統的なもの、特に着物に興味持ち呉服問屋へ入社。

なぜ問屋を選んだかというと、メーカーと小売の両方の様子を知ることができると考えたから。

しばらくは小売店への営業活動、次第にメーカーの社長や職人さん達と仲良くなると「ものづくり」に興味が。



そんな時…

非常に珍しい染め「貝紫(かいむらさき)」との出会い。


ここから貝紫を使った商品を作る手伝いをはじめ、メーカーとして再出発することに。


手描き友禅で貝紫を表現したり、糸を貝紫で染めて織物を作ったり。

初のものづくり、真っ白な生地から着物が、色糸を織り重ねて帯が出来上がる喜びを昨日のことのように覚えています。



余談ですが、この貝紫とは貝の分泌液で染めるもので古代フェニキアでは金よりも価値があるといわれたもの。

シーザーやクレオパトラも珍重し帝王紫とも。

しかし貝の乱獲により途絶えた歴史があり、今や幻の染めとも呼ばれます。



閑話休題…



しばらくして、大問題発生。

様々な要因が重なり、貝紫の元になる貝の入手が困難に。

貝紫は、原始的な染め方と薬品を使った染め方と2種類あり、私達は原始的な方法。

薬品を使えばまだまだ作れるけれど、それでは古代染織云々といってきた自分に、そしてお客様に嘘をつくこと…


そう考え、貝紫でのものづくりを断念。



会社に小売部門もあった関係で

「ものづくりを伝える小売店」を目指そう


と決意。


なぜなら、ものづくりを理解してくれない小売店をたくさん見てきたので。

これは悪口とかではなく、メーカーと小売では立場が異なりやむを得ないのですが、メーカー視点では残念に思うのです。



すると早くも、基本的な問題に直面。

今までは問屋・メーカーの立場だったので、考えることは「どう売るか」ばかり。



お客様と話していくと

「着付けが苦手」


「着た後が大変」


「タンスに着物が眠っている」


という声がたくさん聞こえてきます。



そうか、売ることばかりではダメなんだ、と。


そこで着物の悩みを解消するサービスを開始。



◎お手持ちの着物を「3分で着られる着物」にお仕立て替え。


着付け教室に通わなくても、簡単きれいに着られます。

海外赴任の際も、着付けの心配がなくなりました。


◎丸洗いでは汗が落とせないので「汗抜き丸洗い」というお手入れ提案。


丸洗いで汗も落ちる、とお考えの方やお店が多い現状。

翌年の汗ジミの心配がなくなりました。


◎ご自宅に訪問して、タンスに眠っている着物や帯を拝見し、コーディネートやお手入れ(シミ抜き・染め替え・寸法直し)などの相談承り。


タンスの中の着物や帯を「お手入れするものとしないものに区別できた」「この着物にこの帯を合わせたら良いんだ」など、大変喜ばれています。

当店では「出張!タンスの着物診断」と呼んでいます。


これらのサービスはほんの一例で、ほかにも「半衿付け」や「簡単帯結び体験会」「ファスナー衿加工」なども。

すべては「お客様の声」からはじまったことばかりです。




そして店長を務めていた令和元年、店舗の移転とともに会社を譲り受け、新たな屋号「染織 田宮」として新店をオープン。


屋号を「着物」や「呉服」、「お洒落な横文字」にせず、「染織」としたのは染めと織りを伝えたい、そんな想いも含まれています。



気がつくと…

問屋5年、メーカー10年、小売14年、この業界29年。



問屋、メーカー、小売という枠組みを超え「着物の悩みを解消する」ことが仕事の役目になってきました。




この頃の危惧は…

着物をお召しになる方は年々増えてきているように感じますが、新しい物を購入される方はあまり増えていないのでは。

リサイクルやリユースを否定しているのではなく、新しい物が売れないと作っている職人さんたちが困ってしまいます。


そこで、ものづくりへの理解を深めるため、店内での「職人展」や「産地見学ツアー」などを増やしていこうと思います。



「この人に作って欲しい」
「この人に着て欲しい」

「この人に直して欲しい」
「この人のを直してあげたい」


この間に立ってお手伝いできたら…

これが私の大切な仕事です。



… … …



長々とお読みいただき、誠にありがとうございました。

小さな小さな店構えではありますが、作り手とお召しになる方、双方に寄り添って営業しております。

どうぞご贔屓に。